私が高校生の頃、まだ今のようにいろんな味のドレッシングは家庭には普及してなかったと思う。(我が家だけかもしれないが)
とくに酸っぱいものって、好んで食べたりもしなかった。
ましてや、カレーの付け合わせのキャベツにこんな酸っぱいドレッシング…..。
とにかく残さず食べないといけない・・・ ただそれだけを考えながら食べた。
インベロ初体験の感想は、決して美味いとは思わなかった。
ただ、おこづかいの少ない学生時代に1杯250円のカツカレーは、空腹を満たすには十分にありがたい食べ物だった。あれをカツカレーと呼ぶことを拒む人も多いとは思うが。
その後、数日が経過し、決して美味しいとは思わなかったのに妙にインベロが食べたくなる。
他にも食べるものはいろいろあるのに、あの緊張感の中でなんか食べたくなる。
あの辛ーいルーと、卵で包んであるご飯と酸っぱーいドレッシングのかかったキャベツが一緒になったところを食べたくなる。まだ禁断症状が出ていることに気づいていなかった。
鍵っ子だった私は、週に2回くらい行くようになる。すでに中毒患者になっていた。
そして最後にサンボアに行ったのは’86年前後だったと思う。
すでに社会人になっていた私は、怖々ドアを開けると相変わらず「ジロリ」と睨みをきかす。
「おばちゃん久しぶり。
社会人になったけどいい?」
っていうと、
「あぁ、あんたか、入り。どこ就職したんや」
「いや、しょむないとこ」
と私が答えると
「仕事にしょうむないも何も無い、隣の芝は青い、っちゅうてな…….」
と、ありがたい説教を今でも思い出す。それがおばちゃんとの最後の思い出。
※右の写真は、映画「ジョーイ」のクライマックスのワンシーンなのだが、そのおばちゃんによく似てるので載せてみました。
最近聞いた話だが、おばちゃんは不良を更生させたと西宮警察から表彰されたらしい。